過保護な彼に愛されすぎてます。
「郁巳くんは、あなたみたいに節度を守れない人のせいで、小さいころから嫌な思いをたくさんしています。ひとりで外出できないくらいに、外の世界や周りからの視線が怖くなってしまったことだってある。
本当に郁巳くんが好きなら、もう少し距離を置いたところから応援してあげてください。郁巳くんを、怖がらせないであげて」
じっと見つめながら言い、最後に「お願いします」と頭を下げる。
本心だった。
郁巳くんから、キラキラした笑顔を奪わないでほしいっていう、心からの願いだ。
郁巳くんを好きだって思うひとならきっとわかってくれるハズ。
だって、好きなら、その人から笑顔を奪いたいなんて考えないハズだから。
……けれど。
「僕は、ただファンとして手紙を出してるだけだ! あとをつけてるけど迷惑はかけていない! ちゃんと節度を守って応援してるっ。隣に住んでるだけのくせに、エラそうに上からモノ言ってんじゃねぇっ!」
「でも……っ」
「なにが、〝距離を置いたところから〟だよ! だったらおまえが引っ越せっ。目障りなんだよ!」
なにを言っても、〝隣に住んでいる私〟がお願いしたところで無駄だったのか。
私が言葉えらびを間違えてしまったのか。
犯人は大股で近づくと、険しい表情をしたまま私の肩を押し、つきとばした。
一応、構えてはいたつもりだったけれど、あまりの力にうしろによろけて尻もちをついてしまう。
「きゃ……っ」と声がもれたと同時に、「奈央ちゃん……っ!」と必死の形相の郁巳くんが路地に飛び込んできて……。
転んだ私を見るなり、息を呑む。
そして、ゆっくりと視線を犯人に移した。
――瞬間、その場の空気が凍りつく。