過保護な彼に愛されすぎてます。


『奈央ちゃんの気の強いところは好きだよ。でも、あんなふうに犯人をひとりで追いかけるのは危ないからもうやめてね。俺、見失ってすげー焦ったんだから。奈央ちゃんがスマホ持ってたからよかったけど』

『奈央ちゃん、全然メッセージ返してくれないから心配した。
家に帰ってるのはわかってたけど、もしかしたら誰かと一緒なんじゃないかと思うと気が気じゃなくてさ。今日は寝るの早かったんだね。仕事で疲れちゃった?』

〝スマホ持ってたからよかったけど〟〝家に帰ってるのはわかってたけど〟

ファンの男の人を追いかけてはぐれたとき、郁巳くんはなんで私の居場所がわかったんだろう。

他のファンに取り囲まれて遅れをとった郁巳くんは、私を見失ったハズなのに……あれは、偶然?

郁巳くんが打ち上げだった夜、家に帰ってるのはわかってたって、疑う様子も見せずに言ってたけど……なんで?
私が残業だったって言っても、一度は疑うのに。

GPSっていう三文字が頭に浮かんで言葉を失った。

『奈央ちゃん、スマホおそろいにしよー』
『奈央ちゃん、こういうの苦手だもんね。初期設定、俺がやってあげるから貸して。ついでに待ち受け俺の写メにしていい?』

あのとき……?
それとも、今のスマホは位置情報くらい標準装備なんだろうか。

郁巳くんと一緒にいると、たまに感じる首のうしろがぞくっとする感覚が走る。

私が仕事から帰ってくると、タイミングよく郁巳くんが部屋から出てくることが何度もあったけど……あれって――。

ドクドクとなる胸を押さえながら、郁巳くんと目を合わせた。

「郁巳くん、このスマホって持ってると居場所が……」
「奈央ちゃん」

抑え込むような声で呼ばれ、ビクッと肩が揺れる。
そんな私を見て、郁巳くんは優しく微笑み頬をするりと撫でた。


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