◆Woman blues◆
……変だった。

さっきの太一はどこか変だった。

あの、私に気付いた時の動揺した瞳と、みるみる固くなった笑顔。

ぎこちないハグ。

……勘違いだと思いたいけど、私の直感は間違っていない気がする。

太一が次期社長だという事実が発覚した時、彼は私に友人と飲み会だと説明して先に退社した。

その時とは、まるで顔つきや口調や声のトーンが違う。

何だか嫌な予感がする。

瞬く間に、胸の中に鉛を流し込まれたような重く苦しい感覚が広がる。

これは……秋人の浮気を勘ぐることになった、あの時と同じ感覚だ。

まさか、太一が?

嫌だ、そんなの耐えられない。

今すぐ問いただしたい。

無理だと分かっていながら、そう考えずにはいられない。

ダメ、落ち着かなきゃ。

私は何度か深呼吸をすると眼を閉じ、出来る限り落ち着いてからキッチンへと向かった。
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