◆Woman blues◆
「だーかーら、夢輝さん!ちゃんと鮎川さんと話し合ってください。
朝の鮎川さん、夢輝さんに必死だったじゃないですかぁ。あんなふうに焦って声を荒げるなんて、よほど失いたくないんですよ、夢輝さんのこと」

「そうかな……」

私は曖昧に笑うと、ビールを一口飲んで眼を伏せた。



ああ!

このモヤモヤした気持ちもこの熱いシャワーで流れてしまえばいいのに。

私は太一との今までの出来事を思い出しながら溜め息をついた。

……太一は……凄く優しかった、最初から。

私に好きだと告げた時の太一は本当に緊張していたし、オッケーした時だって心から嬉しそうで。

あれが演技だとは思いたくない。

太一、なに考えてんの?

シャワーを浴びて身体はさっぱりしたのに心は浮かず、どんよりと沈み込んだままだ。

……太一に会いたい。

やっぱり会って話を聞きたい。

でもあんなに冷たく罵った手前、自分からは声を掛けることが出来ない。

乱暴に頭を拭きながらバスルームを出ると、私は寝室のベッドに倒れ込んだ。

……寝ちゃえ。

もう、考えたくなかった。

……なのに……まるで眠れない。

イライラして冷蔵庫を覗き、更に苛つく。

ビールもワインもないじゃん。
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