◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆◆◆

「鮎川太一君、もうハイボールないのー?」

「夢輝さん、飲みすぎ」

「いーじゃん、すぐ帰れるから。同じマンションだしー。ほぼ、ドアトゥドアー?うはははは」

散々、ジュエリーについて語り合い、過去に私達デザイン一課が生み出したヒット商品の画像をパソコンで見て談義した後、私達は二人だけで飲み直した。

そんなに酔ってたわけじゃなかった。

ただ、鮎川太一に聞かれたあることが、私のタガを外した。

『……夢輝さん、秋人って……恋人ですか?』

その言葉を聞き終えてから、私はスッキリとしていて無駄な物がない彼の部屋を羨ましく思った。

……こんな風にスッキリできたらなぁ、私の心も。

それからポツンと呟くように言った。

「……うん……」

無意識に、婚約指輪を外した左の薬指を右手の親指で擦る。

それを見た鮎川太一が小さく息をついた。

「初めて出逢った日……鼻血出した日、」

「そればっか言うな」

早口で被せた私に鮎川太一は笑った。

「だって、可愛かったから」

私はわざと、少し乱暴にハイボールの缶をあおった。

「鼻血出した独身アラフォー女のどこが可愛いのよ、からかわないで」

そんな私を見て鮎川太一は、

「鼻血が嫌だったんですか?それとも独身アラフォーが嫌なんですか?」

……どっちもに決まってんじゃん。

「……キミみたいな歳下イケメンには、わかんないよ」
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