◆Woman blues◆
「オッケ。そういや遠藤君が試作品上がったからバランス見てほしいって言ってたぞ」

「今日確認する約束になってます」

「じゃあ、任せた。あ、鮎川連れていってやれ」

「はい」

私は課長に一礼すると自分のデスクに戻り、今日の業務に備えるため、パソコンの電源を立ち上げた。

◆◆◆◆◆◆◆

「どうなったんですか、秋人さんとは」

時間帯のせいか、大して混んでいない電車の中で、太一は私の真横からチラリとこちらを見た。

「鮎川君、仕事中。でも一言だけ言うなら、別れた」

私は太一を見上げてそう言うと、電車の窓へと視線を移した。

「次で降りるよ」

「はい」

わが社の最寄りの駅から二駅目にあるジュエリー製造工場には、30人弱のジュエリー職人がいる。

「おい、夢!石のバランス確認しろ!」

工場長で私の同期でもある遠藤隆太が、CAD室に入るなり大声で私を呼んだ。

「隆太、久し振り!」

手を上げた私をチラリと見てから、隆太は私の後ろにいる太一を見つめた。

「見ねぇ顔だな」

「うん、今月から入社した鮎川太一君。同じデザイン一課なの。よろしくね」

「鮎川と申します。よろしくお願いしたします」

そう言って頭を下げた太一に、隆太は小さく頷いた。
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