◆Woman blues◆
「俺は遠藤。よろしく。夢、試作品見ろ」

「ん。……なに?」

隆太が私の手元を凝視している。

なに、と聞いてから、しまったと思った。

彼は、指輪をはずした私の薬指を見つめていたのだ。

「なんも言わなくていいから」

先手を打って私がそう言うと、隆太が短く言った。

「ふーん。じゃあ、飲みに行こうぜ。話聞いてやっからよ」

「いいよ、二人だけじゃまずいでしょ」

私がそう言うと、隆太はさらりと答えた。

「別に構わない。離婚したから」

「えっ?!」

途端に私の頭をパンッ!とはたいて、隆太は嫌そうに私を見た。

「うるせえよ。でけー声出すな」

「な、な、なんで?!いつ?!」

驚きすぎた私の首に腕をグイッと回すと、隆太は後ろの太一をチラリと見た。

「おい、仕事中だぜ?鮎川君が驚いてるみたいだからよ、続きは飲みに行ってからな」

私は隆太の筋肉の張った腕を必死で持ち上げながら、コクコクと頷いた。
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