◆Woman blues◆
vol.2

傷の舐め合い

◆◆◆◆◆◆

「なあ」

「んー?」

「またこうやって飲みに行けるか?」

私は首をかしげた。

「どゆこと?」

新しく越した隆太のアパートは、私のマンションの近くだった。

街路樹に巻き付けられたLEDライトが、何のイベントもないのに街を美しく彩っている。

風は生ぬるいが、不快感はそれほどない。

酔っているからかも知れないけど。

背の高い隆太を見上げると、彼は決まり悪そうに咳払いをした。

「だから、二人でだよ」

「当たり前じゃん!昔はしょっちゅう行ってたよねー」

私がそう言いながら空を仰ぐと、隆太は頷いた。

「最後に行った時……あん時は悪かったな」

私は空を仰いで笑った。

「分かってるよ」

その時、

「夢輝さん」

反射的に振り返ると、私達が通り過ぎたコンビニの前に、鮎川太一が立っていた。

「た……鮎川君」

太一は隆太に眼を向けると少し頭を下げた。

「今日はお世話になりました」

「鮎川君は、この近く?」

隆太の問いに、太一は頷いた。

「はい」
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