紳士な婚約者の育てかた
めどがつくまでは自分なりに出来ることをするために日本に残る。
知冬さんを信じてない訳じゃないけれど。
何もしないまま帰るのを見送って向こうで彼女が出来ちゃいましたとか
志真が何もさせてくれないから寂しくてツイ、とか。あるような気がして。
あれこれやっぱり彼を信じてないのかな、私。
「信じてる信じてる。知冬さんを信じてるっ」
信じてるから彼と幸せになるためのもう一歩を踏み込むのだから。
「志真?」
「は、はいっ」
「準備はいい?」
「はいっ」
風呂から上がり何時もなら寝る準備をして彼に挨拶をして二階へ上がる。
でも今夜は違う、そのまま知冬の布団へ向かう。ただ寝るわけじゃなくて。
「脱ごうか」
「……脱ぐの」
「脱がないと」
「……わ、わかった」
山田志真。この歳にしてついに初体験を致します。
知冬はいつも通り落ち着いた様子で志真を見つめているから、
やっぱり慣れてると違うんだろう。布団の上に座っている彼の側へ。
志真も座って、おずおずとパジャマを脱ぐ。
「……」
「あ、あの。……お願いがあります」
「何ですか」
「私は初めてなので、…分からないことだらけです。…優しく、してください」
出来たらスーって始めてササ―って終わってください。
「すー……?」
「そ、そんな感じで」
「……そんな感じ?」
志真の言葉が理解できない様子で頭の上にははてなマークが見える。
自分でも妙なことを言っていると自覚はあるけれど、
どう説明しようか分からない。とにかく未知の領域なのだから。
そうこうしている間に下着姿になる志真。
これ以上はちょっと恥ずかしくて明るい部屋で見られながらは無理。
「うっつつ」
「志真。力抜いて」
「……う、うん」
モジモジしていたら知冬が部屋の電気を消して志真を布団へ寝かせる。
彼の息遣いが頬をつたってこそばゆい。
「……」
「……、知冬さん?」
視線は感じるけれど、何もしてこない。不思議な間。
「……日本人に…なろうかな…」
「ええ!?ちょ、ちょっと。知冬さん!?」
何でどうしてそうなる?
「…愛してる志真」
「は、はいっ……あっ…んっっ?」
ちょっとまって始めるなら始めますって言っていきなり触らないで。
不意打ちで変な声でちゃったじゃないですかっ。
モジモジと体をよじらせる志真だが、動き出した手が止まることはなく。