気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
向こうもわたしに気づいて、小さく微笑みながらポーチを掲げた。

「化粧直してくるわね」

「はい……」

なんとなく気まずい反応をしてしまって、わたしは視線を外す。
自分でも不自然だってわかっているのにどうしても先程の話が頭をよぎるから、普通にしていられなかった。

切り替えなきゃダメ。自分に言い聞かせていると、すれ違ったところで峯川さんが立ち止まった。

「英介となにを話していたの? わたしのこと?」

急にそう聞かれたものだから、戸惑ったわたしは足を止めて勢いよく振り向いた。

峯川さんはわたしの顔を見て目を眇める。

「あたり?」

「えっと……」

「もしかして悪口とか?」

「違います、悪口なんて言っていません!」

誤解されたくないと、声を大きくしたけれど逆に焦っているように見えてしまっただろうか。

峯川さんの表情を窺っていると、ふっと笑われた。

「冗談よ。ただ、戻ってくるのが遅かったからなにを話していたのか気になっただけ。まあ、景くんとふたりきりにしてもらえて大事な話ができたからよかったけれど」

「……大事な話?」

「あら、気になる?」

相手にそういうつもりはないのかもしれないけど、なんだか小馬鹿にされているように感じてしまって、本当は気になるけれど「別に……」と強がってしまった。
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