気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
通路に出たわたしは、ぎゅっと唇を噛んだ。

最低……。感情的になって、キスのことや峯川さんのことまで言ってしまった。

あのタイミングで言うようなことではなかったし、峯川さんのことに関しては聞くべきじゃないのに。

わたしがあんなことを言って景さんはどう感じただろう。

動揺をしていた景さんは、峯川さんのことどう思っているのかな。

もう、聞けないだろうけど。
『声をかけないでください』なんて、すごく冷たいことを言ってしまったから。

仕事仲間に言う言葉じゃないよね。
ああ、本当にわたし最低だ……。

頭の中は後悔ばかりで、歩く速度を緩めたわたしは額を押さえた。

苦しくて、切なくて、どうしてこんなに景さんのことが好きなんだろう。

軽くて適当な人だけど。

『やった、チャンスじゃん。頑張れよ』
わたしがはじめて広告デザインをやってみないかと言われたときに、うれしそうに言ってくれた景さん。

『大丈夫、俺のアシスタントを何度もしている君なら突然のことにも余裕で対応できるだろ』
突然のデザイン変更で、ひとり心細かったわたしを景さんは励ましてくれた。

『気にしなくていいんだよ。俺、春ちゃんのこと手伝える余裕あるんだからさ』
本当は優しくて頼りになる人。

そういう景さんだから、ずっと惹かれ続けているのかもしれない――。
< 87 / 107 >

この作品をシェア

pagetop