幼なじみの隣で不器用な恋を

「…………」


「…………」


キッチンの流し台で食器を洗う音だけが聞こえてくる。


やっぱり、気のせいじゃない。


眞紘くんの様子がおかしい。


いつもなら、片付けしながらでも何か会話をしてきそうなのに無言だなんて。


さっきも、不自然に視線泳がせてたし。


今日の学校でも、スーパーで買い物した時も、特に違和感は感じなかったのに…。


“緊張以上にツラい闘い”


ふと、アパートに到着した時に話してた眞紘くんの言葉が頭の中で再生される。


もしかして、本当は体調あまり良くないのに、私の誕生日だからって我慢して振る舞ってくれてるんじゃ……


私が心配しないように元気なフリして…。


そうだとしたら、誕生日のお祝いよりも早く休んで貰わなくちゃ…!


勢いよく立ち上がった時、片付けを終えた眞紘くんがケーキの箱を持ってリビングに戻って来た。



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