幼なじみの隣で不器用な恋を

「緊張以上にツラい闘いってのは、理性のこと…。」


「理性……?」


「でも、大丈夫。暴走させないように食い止めてるから。とは言え、今日の花奏の不意打ちの可愛い言動には何度も理性が揺らぎまくって、すげぇヤバいけど。」


よく分からないけど、目を逸らしたり口数少なかったのは、それが原因だったんだ…。


そっか…。


体調悪いとかじゃなくて、ホッとした…。


「あ、だけど…食器類を片付けてた時に無言だったのは、緊張の方が大きかったかな。」


「えっ…?」


首を少し傾げると、眞紘くんは大きく深呼吸をする。


「花奏、少しの間だけ目を閉じてくれる?」


「うん…」


キス、するのかな…?


緊張しながら目を閉じる。


でも、唇に触れられる感覚はないまま、眞紘くんから“目を開けていいよ”と声を掛けられた私。


不思議に思いながら目を開けると、眞紘くんの手の上にはピンク色の小さな正方形のケースが乗せられていた。


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