プリテンダー
「鴫野くん、ご馳走さま。すっごく美味しかった!!ありがとう!」

「ああ…うん。」

渡部さんに声を掛けられハッとして、杏さんの事ばかり考えている自分が不思議になって首をかしげた。

「私、鴫野くんと毎日一緒にお昼御飯食べたいな…。」

「え?」

「少しでも鴫野くんと一緒にいたいから…。あっ、もちろん自分の分は自分で用意するよ!」

どうしたものか。

僕は毎日杏さんと一緒にお昼を食べているわけで。

そこに渡部さんも…とか、気まずすぎる。

なんて言って断ろう?

「できれば、鴫野くんと二人きりがいいんだけど…。」

杏さんになんと言おうか。

「ね、いいでしょ?」

「うん…。」

「嬉しい!!約束ね!」

しまった!!

うっかりうんって言っちゃったよ!!

どうしよう?!

「えーっと…でも…やっぱり…ここではまずいかな…。渡部さんとは部署も違うし…。」

我ながら苦しい言い訳だ。

渡部さんは小さく笑って、意味深な目で僕を見た。

「じゃあ…別の場所で二人きりならいい?」

「えっ?いや…。」

そういう意味ではないんだけどな。

一体何を考えてるんだか。

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