すべてが思い出になる前に




京都から帰って翌日には大学へ出勤し、ロッカー前で富永に声をかけられた。



「お帰りなさい‼︎京都はどうだった?」


「あぁ、観光客ばかりだったよ。そうだ、土産これでいい?」



富永に頼まれていた生八ツ橋を手渡しして、喜ぶ富永を他所に、涼太はロッカーに自分の荷物を無造作に入れ、白衣を腕にかけて研究室に入って行った。



いつもと様子が違う事に薄々気付いた富永は首を傾げていた。ちょうどいいところに鴨川がエレベーターから降りてきて思わず駆け寄った。



「ねぇ鴨川、宮﨑くん京都で何かあったの?」


「いきなりなんだよ、宮﨑?さぁ…俺は知らないけど。人には悩みの1つや2つぐらいはあるだろ」



鴨川に言われ、そうかなぁと不満気に富永が呟いた。





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