すべてが思い出になる前に
友理奈はテーブルを挟んだ向かい側のソファに腰掛けて、メニュー表をじっと見つめ始めた。
「うーん、どれにしよう…。じゃあカプチーノとチーズケーキ‼︎」
「すみません、追加でカプチーノとチーズケーキをお願いします」
涼太が注文した後に、友理奈が話を切り出した。
「いつかは言わなきゃと思ってたんだけど…」
友理奈が話す内容は”空白の8年間”だ。
涼太は黙って耳を傾けた。
「大学に進学して夏頃にカナダに留学してたの。その半年後に携帯を現地で無くしてしまって…。日本に帰ってきたのは、2年生の夏。やっと携帯を買い直したんだけど、前のデータが消えてしまったから、友達のメアドも電話番号も分からなくなって、連絡が取れなくなったの」