すべてが思い出になる前に
空港の長いロビーを歩いている時だった。
隣で並んでいたパイロット訓練生の那須が立ち止まった。
「堤さん‼︎」
名前を呼ばれた友理奈は、後ろを振り返り何事かと遠目で見る。
2人の間に微妙な距離感と空気が生まれた。
「あの、堤さんに一目惚れしました」
「一目惚れ⁇」
異性から突然言われ、終始戸惑う友理奈。それもそのはず、人生初めて一目惚れされたのだ。
友理奈は余りの驚きで、言葉が出なかった。
「友理奈さーん‼︎」
友理奈を見つけてロビーを走る元倉の姿が見えた。
友理奈の目の前には、あのパイロット訓練生が一緒にいて、
苦笑いを浮かべる友理奈。
「これは一体…」
元倉はようやく場の雰囲気を察した。