すべてが思い出になる前に
身体から離した時に友理奈が涙を流している事に気付き、涼太は右手の親指で涙を拭った。
「泣く事ないだろ⁉︎必ず帰ってくるから心配すんな‼︎」
涼太は友理奈に白い歯を見せてニッと笑って見せた。
「うん、待ってるから」
涼太の笑顔を見て安心した友理奈は、気持ちが落ち着いた。
* * *
そして1ヶ月後
空港の搭乗口までの長いロビーを歩いていた友理奈は、突然立ち止まり腕時計を確認した。
大きな窓ガラス越しから空へ飛んで行く、一台の飛行機を見送った。
友理奈の前を歩いていた元倉が、後ろを振り返り様子を伺う。
「友理奈さんどうかしましたか?そういえば…彼氏さんのアメリカ行きは今日でしたよね⁉︎」
「そうよ」
「寂しくなりますね」
「仕事をしてたら、2ヶ月なんてあっという間よ‼︎」
「そうかもしれませんね」
飛行機を見届け、再びロビーをスタスタと歩き出した友理奈を元倉は駆け足で追いかけた。