すべてが思い出になる前に
「俺、頑張るから」
涼太は持っていたテニスボールを数回軽く手のひらの上に投げたり掴んだりしていると、茜は両腕を組み、顔を上げる。
「初戦で負けたら許さないからね‼︎」
「おぅ、すげープレッシャーかけんなよ〜」
苦笑いを浮かべた涼太にすかさず笑って誤魔化した。
「冗談よ冗談‼︎本気で頑張れって事よ‼︎」
「茜、そろそろ行こう。じゃあね、涼太」
手を振って立ち去る2人を見送っていた涼太に、翼が大声で呼んだ。
「涼太、そこで何してんだよ。集合かかってるぞ‼︎」
涼太は翼の方に振り向き、駆け足でコートへ戻っていった。