すべてが思い出になる前に
涼太が入院している大学病院に到着し、部屋の前まで来た所でドアノブに手を掛けた時だった。
友理奈が翼と茜の方を見て頷きながら部屋の扉に3回ノックをした。
「はーい」と言う涼太の返事が返って来て、友理奈はドアを開けた。中へ入るとベッドに座っていた涼太がいて、周りにはお花や果物が置かれていた。
「おぅ!」と涼太は3人に声を掛けた。涼太の右腕から肩に掛けてギブスがされていた。
「驚いただろ⁉︎入院3週間、その後リハビリして完全に治るかは分からないって言われた」
明るく振舞っている涼太だったが、それは今まで厳しい環境の中、頑張って練習していたが故に肩を壊してしまった。
何て声をかけてあげればいいのか必死に考えたが、気の利いた一言すら何も言えずそのまま病室を後にした。