すべてが思い出になる前に
涼太は昔から凄い負けず嫌いで、前向きで、向上心があって、努力を惜しまない。そんな真っ直ぐな性格は全く変わっていない。
医者からは無理だと言われても、意地でも治してやるという強い信念がある限り、涼太はまたあの緑の芝生のコートに戻ってくる。それを私たちは暖かく見守り続け、信じるしかなかった。
年が明け、1年で最も寒い2月になった。
朝補習を受ける為、朝7:45には南女に登校していた友理奈は、教室のベランダへ一歩外に出ると、凍えるほど寒くて思わず両手に白い吐息を吐く。
濃紺地のセーラー服には袖口と襟に3本の白色のラインが入る。スカーフは黒色。寒い場合は指定の紺色カーディガンを羽織るのが校則である。
友理奈のスカートのポケットから、携帯のマナーモードがブルブルと震え出した。
メールの着信を確認すると、思わずビックリして目を見開いた。