すべてが思い出になる前に
翼はボールを持っているその立ち姿を見て咄嗟に大声で叫んだ。
「おい、待ちくたびれたぞ‼︎」
「遅くなりました‼︎」
テニスボールを握っていたのは、涼太だった。
「もう肩は大丈夫なのか?」
涼太はテニスボールを翼に向けて投げた。
「ほら、この通り」
テニスボールをキャッチした翼はニコッと微笑んだ。
涼太はそのまま真っ直ぐ歩み寄り、チームメイトの輪に入った。
「試合に出れるまであと2カ月かかるけど、今日から少しずつ以前の様に戻れるように頑張るよ」
涼太は白い歯を見せて笑った。早くテニスがしたくてたまらないそんな気持ちだった。