one more chance――美少年は女総長――
風斗side
あの日、伶の様子がおかしかった日
俺は伶を追いかける事はしなかった。
類が彪牙さんに急いで連絡をとり、みんな授業は出ないで急遽倉庫に集まることになった。
愁が伶を連れて帰ってきたとき、俺は伶を守りたいと思った。
喧嘩では勝てなくても愁の胸の中で泣いている伶を見て、ホントは弱い女なんだと愁の代わりに俺が行っていればとそう思った。
泊まり掛けの日、俺はてっきり姉貴を後ろに乗せるんだと思っていたから
愁が伶に「俺の後ろでもいいか?」と言ったが、止めなかった。
だが、彪牙さんが姉貴に「俺の後ろに乗れ」と言われて後悔した。
結局洸を後ろに乗せ「テメーら!サツに捕まるなよ!」と言う合図にみんな一斉にバラバラに走り出す。
途中停まっていたパトカーがサイレンをならし始めた。
どうやら俺の前を走っていた下端が狙われたようだ。
「逃げろ~逃げろー」と洸が喜んでいる。
この小悪魔め…
全員が来れないと意味がないだろ
俺はミラー越しに洸を睨んだ。