押しかけ社員になります!
はぁ。やはり非の打ち所の無い男じゃないか…。若造じゃない分、やり込める事も出来ん。
いい男だ。御曹司。ヘナヘナ、ナヨナヨした勝手なイメージを持つのは何かの刷り込みだろうか。どうも御曹司という奴は、幾つになってもチャラチャラしているんじゃないかと思ってしまっていた。…チャラチャラどころか。何にも動じない。何度でも来るって言うし。はぁ。
「お父さん…」
「帰ったか…」
「はい。良さそうな人ですね」
「…ああ。だから困る。文句の一つも言えない。母さんこそ、静かだったじゃないか」
「だって…凄い男前だって和夏が言ってたのに。それ以上、想像以上に素敵だったんだもの」
「…は?おい…お前は…今日がどんな日だと…全く。娘の相手はアイドルとか俳優とかじゃないんだぞ。…何を言ってるんだ」
「あら~。ヤキモチかしらぁ?お父さんだって、和製ジョニー・デップよ?」
「誰だ、ジョニー何とかって」
「あら、知らないの?フフフ。男前の俳優さんよ」
「何が男前だ…。フン。どうせご機嫌とりだろ?」
「ええ、そうよ。…血の繋がらない男前に敵う訳が無いじゃない。和夏はもうとっくにお父さんのお姫様じゃ無くなっているのよ?お父さんはお父さんなんだから、早く現実を飲み込んでね。
ジョニーには私が居るでしょ?」
「だから…誰がジョニーだ。俺は城司(じょうじ)だ」
「え?何ですか?」
「…何でも無い」
「あ、じゃあ、ジョージ・クルーニーだったらどう?同じジョージだし」
似てるなんて初めから嘘じゃないか…。解ってるけど。…フ。
「どうするんです?どうやら結婚はまだまだ無いようですし。次は何を言って反対するつもりですか?」
反対する事なんてどうせ無駄だと思ってるだろ。
「…でも、いつか解らんが何れは結婚するだろ」
「そうですね。言葉通りなら。見てるしか無いじゃないですか。子供じゃ無いんだし」
「ああ。…そうだな。そうなんだが」
「諦めてくださいよ?敵いませんよ、あんなにしっかり覚悟されたら」
「…ああ。…そうだな」
「もう…、お父さん、まだ早いですよ?何とか症候群になるには」
「ああ。ん…はぁ」
…もう、和夏に言わなくちゃ。これからは、ちょくちょく顔を見せなさいって。…挨拶とは別なんだから、来る時は必ず一人でよって。