押しかけ社員になります!
「部長、では、先に出ます。と言うか帰りますね」
「すまない、送れなくてごめんな」
「いいえ、…私がグズグズして遅くなったから時間が無くなってしまったんです…部長は悪くないです。では…」
あ…、ん。
「ん。じゃあ…会社でな」
「…はい」
はぁ…。早く帰らなくちゃ。お泊りすると朝どうしても離れがたくなってしまう…。駄目ね。
唇に触れた。…部長。頭を押さえられてキスされた…。もしも、朝、行ってらっしゃいのキスをして部長を送り出すとしたら、こんなに余韻が残ってしまうんだ。
家に居るならいいけど、会社に行くならしない方がいい。触れただけなのに、身体も気持ちも大変になるもの…。
今朝は寝坊した私が悪い。起きて、起こされても、また眠ってしまったから。
まだ一緒に居たくて。ずっと部長の腕の中に居たくて。
実家に挨拶に行ってから定期的にという訳でも無いけど、平日でもご飯を食べに帰る事をしている。
お母さんが、長い時間じゃなくていいから、フラッと来てご飯食べて帰りなさいと言う。
最初は挨拶に帰った事がきっかけで、最近帰っていなかった分、会いたくなったのかと思った。
チラッと言われた。
どんなに反対しても、二人の思いが強くて離れないなら、いつかは青柳さんと一緒になってしまうでしょ?
気持ちの問題なの。
お父さんは寂しいのよ。だから、顔を見せに来て、と。
結婚しようがしていまいが、会おうと思えば会える。ずっと娘なんだから。
でも、深層心理は違うと言う。
やっぱり取られたと思うのよ。…もう、うちの和夏ではなくなってしまう、って、思うものだと。