押しかけ社員になります!

「誰か旅行か?」

「はい、女子社員二人のおみやげです。沖縄に行ったとかで」

「ふ~ん」

「甘いですね、凄く」

「ん」

「珈琲、飲みますか?」

「ん、ああ、頼む。…西野~」

「はい?」

「呼びにくいかぁ?」

「…え」

「吉城って、呼びにくいのかなと思ってさ。ずっと部長って呼ぶから」

「あー、それは…ごめんなさい。私にとって、部長は部長なんです。好きになった人が部長だから。だから部長って呼んでしまうんです。解りづらいと思いますが、今は漢字の部長では呼んで無いんですよ?音にしたら同じですけど、心ではカタカナで、愛称で呼んでいるつもりなんです」

「フ。そうなのか。それは…解りづらいな」

「あの、嫌…ですか?部長では」

嬉しくは無いと思う。今は常務になっている訳だし。もう、とっくに部長では無い。

「いいや、嫌じゃないよ」


「はい、どうぞ」

「ん、…有難う」

…部長は何か、考えている。

「部長。そっちに行ってもいいですか?」

「ん?駄目って言うはずが無い」

「では」

斜向かいの椅子から立ち上がり部長の横に座った。
肩に頭を乗せたら肩を抱かれた。髪をゆっくり撫でられた。…胸に手を当て頬をくっつけた。

「随分懐いてくれるな…」

「はい、くっつきたいから、くっついてます」

だって…どんな女(ひと)にだって、取られたくない。誰にも触れられたく無い。簡単に腕を回されたり、身体を押し付けられたりされたく無い。それが仕事上の、クラブの女性だとしても。
心も…奪われたく無い。

「…俺もくっつきたい。この胸に顔を埋めたい…西野…」

軽く触れられてしまった。

「…部長?!」

…こんなの…しないのに…酔いのせい?そんなに酔っているとは思えないけど。

「一緒にシャワーに行くぞ」

え、あ…部長?ガタガタと立ち上がると手を引かれた。

脱衣所のドアを開け、入ると同時に部長は手早く衣服を脱いだ。あ…、相変わらず逞しくて綺麗な身体。私、もうドキドキしてる。
見惚れていた私の洋服も部長によって、あっという間に脱がされた。抵抗する間は無かった。
隠す間だって。

「…はぁ…綺麗だ」

あ、嫌、恥ずかしい…。見ないで欲しい。あ…。軽く抱きしめられると同時に、首元に唇が這っていた。はぁ、唇…熱い…。お酒のせいなのか、唇も熱を帯びているような気がする。鎖骨の辺りから、胸に…。ぁ…。
抱き上げられ浴室に入った。
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