押しかけ社員になります!

「さあ、行こうか」

「…はい」

車を降りた。駐車場からお店に向かう。部長が手を取り繋いだ。
私、…緊張して来た。きっと場違いな気がする。ううん、絶対場違い。…どうしよう。

「西野、約束だ。自分が好きなのにするんだよ?
変な気を遣われたら嬉しくない。西野が喜んでくれる、楽しそうな顔をしてくれるのが一番嬉しいんだから。必ず気に入ったものにするんだよ?いいな?約束だ」

「…はい、有難うございます」

でもね…。
『ようこそ青柳様。お待ちしておりました』
こんな言葉でお店の人に迎えられてしまったら、…私なんかって、思いっきり減り込んでしまうだろう。

…あ、ドアが開いた。

「ようこそ青柳様、西野様。お待ちしておりました」

え。

「どうぞ、こちらのお部屋に。
お掛けください。今お飲みものをお持ち致します。少々お待ちくださいませ…」

あ…部長。部長!…。

ノックの後、別の人が現れ、紅茶を置いて下がった。
香りの高いアールグレイだ…。

入れ替わるように、また別の人が現れた。

デザインリングが沢山並べられたベルベットの陳列用のトレーを運び入れた。敷き詰めるようにテーブルに並べていった。

「どうぞごゆっくり…、お試しくださいませ」

「有難う。さぁて、和夏、どれがいいかな…。
これなんかどうかな、綺麗じゃないか?ああ、こっちが似合うかな…」

お店の人は離れた場所で笑顔で立っていた。

「………和夏?…どうした。和夏…。どうしたんだ?」
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