その背中、抱きしめて 【上】



「別に先輩に金出させようとか思ってないから心配しないで。どのデザインがいいですか?」

「いや、こんな高いもの買ってもらうとか余計ダメだよ。せめてもっと安いところに…イタタタ!」

喋ってる途中で結構思いっきり鼻をつねられた。

「俺がいいって言ってんだからいいの。俺の気持ち踏みにじるようなこと言わないでもらえませんか」

「イタイイタイイタイッ。ごめんなさい許して」


本気で痛くて涙目で鼻を押さえる。

「ほら、先輩。ここからここまでの間で好きなデザイン選んで」

高遠くんが指でコンっとショーケースを2ヶ所叩いて範囲を指定する。

(何でこの範囲?)


「ここからここまで、全部チタンリングなんだよ」

「チタン?」

よくアスリートがネックレスしてるよね、チタンネックレス。

筋肉をリラックスさせたりとか血行促進とか、たしかそんな理由だったと思うけど…うろ覚え。

(スポーツ目的かい?)


「チタンって軽くて汗で錆びにくいんだ。スポーツしてたら汗かくから錆びにくい方がいいし」

「でも部活中は指輪できないじゃん」

私がそう言うと、高遠くんが向こうの方を指さした。

そっちに目をやると、ショーケースの中にネックレスが飾ってあった。


「部活中は首から下げる。あれ、指輪専用のトップが付いたネックレス」

「へぇぇ…」

そんなのがあるなんて知らなかった。

「チェーンネックレスに直に指輪通してもいいんだけど、摩擦で傷つきそうだから専用のペンダントトップがあった方がいいでしょ」


もう驚くしかない。

もう驚きしかない。




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