その背中、抱きしめて 【上】
私の家の近くの公園のベンチに座る。
気温は低いけど風はなくて、日向は暖かい。
緊張しながら、期末テスト前の図書館での勉強のことを高遠くんに話した。
偶然図書館の自習スペースで清水くんに会ったこと。
その帰りに告白されたこと。
友達から始めることになったこと。
高遠くんとヨリを戻したことに浮かれて、清水くんの存在をすっかり忘れてしまって…ちゃんと断ってないこと。
高遠くんはずっと黙って聞いていてくれたけど、話し終わった直後に思いっきりデコピンされた。
「いった…!!!!」
パチンッていう素晴らしくいい音がおでこから聞こえた瞬間に、痛みでおでこを押さえて前かがみになる。
「ほんとに先輩は無防備っていうか隙だらけだよね、相変わらず」
「…ごめんなさい…痛い…」
ほんとに痛くて涙が出てくる。
「先輩の隙の多さと、先輩に春高のメダルをあげるっていう大地にもムカつくから、それお仕置き。ちょっとは痛い目見なさい」
「…ごめんなさい…」
まるで親に怒られた子供のように、ただ”ごめんなさい”しか言えなかった。
本当にごめんなさい、高遠くん。
いくら高遠くんと離れたからって、いくら清水くんの押しが強かったからって…清水くんを恋愛対象として見てなかったんだからちゃんとその場で断るべきだった。