その背中、抱きしめて 【上】
「今からここに大地来るから。先輩、ちゃんと断ってよ」
…私、首振ったのに。
私の主張は却下ですか。
「…ハイ…」
「何その返事。断んの嫌なの?」
高遠くんの顔が一気に不機嫌一色になる。
「違う違う!」
私は顔の前で両手を振った。
「…まだ心の準備が出来てなくて…何て伝えたらいいのか…」
どうやったら傷つけるのを最小限に抑えられるのか。
言葉がまとまらない。
「もしかして、大地を傷つけないようにとか考えてる?」
「え?」
「だったら、そんなこと考える必要ないですよ。どう言ったって断られる方は傷つくんだよ。曖昧に言えば望みがあるとか勘違いして余計にこじれるんだから。悪者になってキッパリ断って、前を向かせるのが優しさだよ、先輩」
すごく説得力がある。
フラれるのって辛いから、少しでも優しい言い回しで…って思ってた私は、実はすごく嫌なやつなんだってわかった。
ちゃんと断ろう。
ちゃんと思ってることを伝えよう。