その背中、抱きしめて 【上】



まだ夜明け前の朝6時。

歯を磨きながらため息をつく。


「一睡もできなかった…」


高遠くん反則すぎ。

あのキスはだめだよ…ドキドキしすぎておかしくなる。


(あぁぁ…また高遠くんと顔を合わせるのが恥ずかしい…)


ドキドキしっぱなしのバレンタインデー。

色んな意味で、忘れられない1日になりマシタ。



朝ご飯を食べて身支度をして家を出る。

今日は県営体育館で6校合同練習試合。

実はこの体育館、家から結構近くて徒歩15分くらい。


(いつもここで練習試合だったらいいのになぁ)


朝のキンキンに冷えた空気に身震いしながらゆっくり歩いて体育館へ向かった。


体育館に到着すると、ちょうど職員の人が入口のカギを開けたところだった。

うちの部員も何人か来ていて合流する。

高遠くんはまだ来てなかった。


(まぁいつも早くはないからね)


高遠くんはしっかりしてるくせに、わざとなのかいつもギリギリの時間に来る。

まだレギュラーじゃなかった頃なんて、大会なのに会場をフラフラしてて試合始まる直前に戻ってきたりとか。


「あー翔くん来た!遅いよー、早く早く!」

麻衣ちゃんが遠くから歩いてくる高遠くんを見つけて叫んだ。

ドキンッ。

一気に鼓動が速くなる。

(だめだ、やっぱり見れない…)

2年生たちに交じってコソっと体育館入口に向かう。



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