その背中、抱きしめて 【上】



グイッ。


後ろから肩を掴まれてよろけた。


「先輩、さっき目ぇ逸らしたでしょ」


上から高遠くんが私を覗き込む。

(ぎゃーーーーーーーーっっ)


「そそそ逸らしてないよ」

「何慌てふためいてんの」


そりゃ慌てふためきますよ。

昨日の今日だもん。


「翔ー。早く着替えようぜー」

前田くんが高遠くんを呼ぶ。

(前田くんグッジョブ!)

高遠くんは”ちっ”と小さく舌打ちして

「じゃあね」

って小さく微笑んで前田くんのところに向かって行った。



大きくため息一つ。

「何ため息ついてんの?」

振り向くと、そこには元旦以来の笑顔の清水くん。

「おはようゴザイマス、柚香先輩」

「お、おはよ」


県内でバレーやってる男子みんなが憧れるユニフォーム(背番号付いてない練習着だけど)。

私も初めて目の前で見た。


「約束のメダル、持ってきましたよ」

そう言って私の首に銀色の重たいメダルが掛けられた。



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