その背中、抱きしめて 【上】



「ほんとは金色のメダルのはずだったんですけど」

清水くんが苦笑いする。

「十分すごいよ、全国2位だもん」


これが春高のメダルかぁ。

予選1回戦敗退したのに、まさかメダルを間近で見られるなんて。


「…けっこう重たいんだね」

メダルを持ってみる。

「それ柚香先輩にあげますよ。ちゃんとケースも持ってきたから」

「だめだよ!記念じゃん。こういうのはちゃんと清水くんが持ってて」


首から外そうと紐部分に手を掛けようとすると、それを触ることができずに首からするっと抜けた。

(へ…?あれ?)


「勝手に先輩に近づかないでくれる?」


最高に機嫌の悪い高遠くんの声がずっしりと降ってくる。

高遠くんが清水くんにメダルを手渡した。


「別に話すくらいいいじゃんよ。小っちぇえぞ、翔」

「小っちぇえの上等。俺がいない時に先輩に近づくな」

「じゃあお前がいれば、柚香先輩とベタベタしていいんだな」


何か清水くん、高遠くんをいじって面白がってる?


「ふざけんな。いい加減諦めろ」

「こないだも言っただろ。簡単に諦められるくらいなら苦労しねぇんだよ、ばーか」


…罪悪感に見舞われる。

好意を持ってくれてるのに応えられないことに、申し訳なさでいっぱいになる。

清水くんはこうやって明るく振る舞ってくれてるけど辛いのかな…。


「翔、今日の試合で勝負しようや。どっちがスパイク決まるか。どっちがお互いのスパイクをブロックできるか。俺が勝ったらいつでも柚香先輩と話してもいいことにしろ。もしお前が勝ったら…」


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