その背中、抱きしめて 【上】
「先輩に近づくなよ」
「それは無理。現状維持な」
高遠くんがワナワナ震える。
「お前、それじゃ断然お前有利な条件じゃねぇか」
「何でこんな練習試合ごときの勝負で俺に不利な条件をつけなきゃいけないんだよ。まぁ俺が勝つから問題ないけどさ」
清水くんがケラケラ笑う。
「このやろぅ…」
高遠くんの怒りボルテージが上がってる。
くいくいっと高遠くんの袖を引っ張る。
高遠くんが振り返る。
「ケンカだめだよ。清水くんもあんまり挑発しないで」
2人を諭した。
高遠くんも清水くんも気まずそうな顔をして、でも”わかった”って離れてくれた。
清水くんが去り際に
「柚香先輩、俺のことも見ててね」
って笑って私に手を振った。
「私のことで勝負とかしないで。ちゃんと純粋にバレーの勝負してね」
高遠くんの背中をポンと叩く。
「はぁい」
「わかれば良し。さ、行こ」
並んでみんなのところに向かった。