その背中、抱きしめて 【上】



午後5時すぎ。

体育館を出る時には空はすっかり暗くなっていた。


冬は日没が早くてちょっと寂しい気分になる。

夏ならまだまだ空は明るいのにな。


今日の芦澤学園との対戦成績は1勝3敗。

最後の最後で勝つことが出来た。

この1勝は、みんなにとってすごく自信になるはず。

全国2位からセットを取ることができたこと、自信にしてほしい。


(にしても、最後の試合の高遠くんの集中力がハンパなかった)


1人で思い出し苦笑い。

負けず嫌いなんだよね、あまり表情に出さないくせに。


体育館は県立公園の中にある。

家が徒歩圏内の私は電車で帰るみんなと体育館を出てすぐに別れて反対方向に歩き出した。

綺麗に整備された公園の中をゆっくり歩く。


「ゆーずか先輩っ」

後ろから清水くんが小走りで近づいてきた。

「みんなと一緒に帰らないんですか?」

「私、家近くだから歩いて帰るんだ。清水くんはどうしたの?」

清水くんだって、みんなと同じ電車組だよね。

「柚香先輩が1人で歩いて行くの見えたから。ちょっとだけ話ししません?」

いつもの笑顔でそう言われたら無下に断れなくてオッケーした。


(高遠くんが知ったら怒るだろうなぁ)


そんなこともちょっと頭をかすめる。

「俺と会ってたら翔が怒るんじゃないかって心配してるんでしょ」

清水くんが私の考えてることを言い当てる。

「ほんっとアイツ何も執着心ないくせに、柚香先輩のこととなると異常な執着心見せるからなぁ。独占欲の塊」




< 399 / 503 >

この作品をシェア

pagetop