その背中、抱きしめて 【上】
「ドアの所に突っ立ってないで、中に入りなよ」
後ろから声がして我に返る。
「あ、ごめんごめん」
「何か物珍しいものでもあった?」
高遠くんに促されて部屋に入った。
「うち、お兄ちゃんとか弟とかいないから、男の子の部屋って初めてで緊張して…」
「そうなの?大したもん置いてないでしょ?」
高遠くんが少し笑う。
(高遠くんは毎日ここで勉強したり寝たりしてるんだ)
もう1度部屋をぐるりと見回した。
「先輩、そこ座りな」
そう言って部屋の真ん中にあるテーブルにオレンジジュースを置いてくれた。
そのジュースの前に正座する。
「足崩しなよ。しびれちゃうでしょ」
高遠くんが苦笑する。
どうも緊張しちゃってダメだ。
無意識にかしこまっちゃう。
その時、背後に気配を感じた瞬間…ふわっと後ろからお腹のあたりを抱き締められた。
そのまま後ろに座った高遠くんの方にぐいっと引き寄せられる。
「わっ。高遠くん!?」
背中が高遠くんにくっついて熱い。
「何、緊張してんの」