その背中、抱きしめて 【上】
「すごーーーーーーーーい!」
もうそれしか出てこない。
だって私、両手でもやっと少しだけ持ち上げられるくらいの重さだよ?
それを片手で簡単に持ってるんだもん。
「やっぱ男の子ってすごいなぁ」
高遠くんの手元を覗き込む。
しかもこの慣れた手つき。
「…もしかして、高遠くんいつも自炊してる?」
「うん。誰も作ってくれる人いないしね。かといってコンビニ弁当ばっかじゃ栄養偏るし。あんま凝ったものは作れないけど簡単なものくらいなら作るよ」
なんてこった!!!
勉強もできてスポーツもできて、尚且つ料理までできるなんて!!
私どれ一つ敵わないんですけど!!
あぁやっぱりテスト終わったら自分のお弁当くらい自分で作ろう。
「先輩、塩コショウしてくれる?」
「わ、わかった」
塩とコショウを目分量でフライパンに振り掛ける。
それから、高遠くんが棚から出してきてくれた鶏ガラの顆粒も。
「よし、完成ー」
高遠くんがフライパンをお皿のところまで持っていく。
「先輩、どのくらい食べれる?このくらいいける?」
「あー!ストップストップ!!」
「これしか食べないの?」
(いや、けっこう山盛ってますよ)
使った3玉のうち、1玉より多く盛ってありそうな私のお皿。
私のお皿より大きい高遠くんのお皿にその残りを盛って、高遠くんはシンクに、私はそのお皿を持ってダイニングテーブルに散った。