その背中、抱きしめて 【上】
3階に着く時、ちょうど高遠くんが到着した。
「ジャストタイミング!」
高遠くんの腕にしがみついた。
「何、先輩ずいぶん楽しそうじゃん」
「そりゃ楽しいよー。高遠くんと一緒だもん」
そう。
いつも高遠くんの前だと緊張しちゃうのに、今は何だかただただ楽しくて幸せで、気が大きくなっちゃってるみたい。
「先輩が腕組んでくるの初めてだね」
高遠くんが目を細めて微笑む。
「え?そうだっけ?」
「そうだよ。いっつも恥ずかしそうに下ばっかり向いてたから。手をつなぐのも何するのもいつも俺からだし」
…そういえばそうだったかも。
高遠くんの顔見るの恥ずかしかった。
だって、そもそもカッコイイから見るだけでドキドキしちゃうし。
何考えてるかわかんないし。
なのに、いきなり私がドキドキすることしたり言ったりする。
そんなんだから、恥ずかしくて下向いちゃうよ。
「先輩、いつもそうやっててよ。先輩の楽しそうに笑った顔好きだからさ」
また優しい顔で、恥ずかしくなること言うんだから。
「高遠くんも今日よく笑ってるね。いつもそうやって笑ってくれたら私も嬉しいのに」
「そりゃ笑うよ。俺、今日が今までで1番楽しくて幸せだもん」
そう言って、高遠くんは会心の笑顔を見せてくれた。
(何それ、反則すぎーー……)
高遠くんの笑顔の破壊力といったら…。
本人きっと自覚無いんだもんなぁ。
あぁ幸せ。