その背中、抱きしめて 【上】
なんかね、急に胸がきゅうってなったの。
幸せすぎて実は今のこの時間とこの状況が夢なんじゃないかって思っちゃって。
だから高遠くんにくっついたの。
高遠くんの体温を感じて、これが現実なんだって確信したかった。
私が後ろから首を出して高遠くんの手元を覗き込むと、高遠くんが首を横に倒して頭同士をコツっとぶつける。
なかったんだよね、今までこういう甘い時間。
私もずいぶん恥ずかしがっちゃってたし、高遠くんも結構クールにすましてたから。
でも今日は何だかお互いいつもの殻から抜けた感じなのかな。
いつもいつもこんなに甘々できるわけじゃないけど、今日くらいは特別にこんなのもいいよね。
「じゃ、あと煮えるまで少し時間かかるから、先輩先に風呂入ってきていいよ。今着替え用意するから」
「先入っちゃっていいの?」
「先輩、髪長いし後だと遅くなるでしょ」
高遠くんにお礼を言って脱衣場に向かう。
もちろんさっき買った下着の入った紙袋も忘れずに持って。
追っかけ、高遠くんが着替えを持ってきてくれた。
「Tシャツとジャージで大丈夫?っていってもこんなもんしかないけど」
「十分だよ。ありがと」
着替えを受け取ってお風呂に入った。
家では結構長風呂だけど、ご飯出来上がっちゃうし急ぎめでお風呂から上がる。
髪の毛をワシワシ拭きながらリビングに戻る。
「お風呂お先に頂きました。ありがと。わーいい匂い」
リビングはカレーのいい匂いで包まれていた。
一気にお腹がすく。
「もう出来たからすぐ食べられるよ。でも先にその髪乾かさなきゃね。洗面台からドライヤー持ってきな」
言われるまま洗面台にドライヤーを取りに行って、リビングに戻る。
リビングのソファーに高遠くんが座ってて、私を手招きした。
「先輩おいで。髪乾かしてあげる」
促されるまま高遠くんの脚の間にちょこんと座る格好になって、髪に温かい風が当たった。