その背中、抱きしめて 【上】




だって自分でもわかんないんだもん。

見慣れてるって言ったってまじまじ見てるわけじゃないし(マネージャー忙しいんだからっ)。



(あ、でも高遠くんの裸は無意識に見ないようにしちゃってたのかも…)


あまり高遠くんの裸を見た記憶がない。

今まで気にしてなかったけど、無意識にそうしてたんだな、きっと。


「じゃあ今見る練習しとけば?」

「無理無理無理!!遠慮します!遠慮させてください!!」

反射的に今いる場所から逃げようとする。


「だめ」


いとも簡単に高遠くんの腕の中に戻されて、私は小さくなった。

(何とかこの現状から脱却しなければ…!)


そこでいいことを思いつく私。

「高遠くん、髪の毛乾かしてあげる」


高遠くんは何だか嬉しそうにソファーから床に座り直して、私は高遠くんの真後ろのソファーに座った。


初めてまともに触る高遠くんのサラサラの髪。

細くてサラサラした髪はすぐに乾いていく。


(毎日トリートメントしてる私の髪よりよっぽどキューティクルすごいんですけど)


「はい、終了。乾いたよー」

ドライヤーの風であっちこっち向いた髪を手ぐしで整える。


「さんきゅ。あー幸せだった」

「えー?そうなの?」

「ん。彼女に髪乾かしてもらうっていいね」


高遠くんもそう思ってくれるの?

私もさっきそう思ったよ。


いつも自分でやる行為を好きな人にやってもらうのってすごく特別。




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