その背中、抱きしめて 【上】
「さぁて、もうひと頑張りしますか」
高遠くんが伸びをする。
「もうひと頑張り?」
何を?
「勉強に決まってんでしょ。何しに来たの?」
「痛い痛い痛い痛いーーー!ごめんなさいー!!!」
こめかみグリグリ攻撃やめてーーー!!!
ヒリヒリズキズキ痛むこめかみを押さえながら涙目で高遠くんの後ろをついていく。
部屋に入ってTシャツを着た高遠くんが片膝を立てて座って私の教科書をめくる。
(それだけでサマになるんだよなぁ)
それだけでドキドキする。
なんてことない仕草なのに。
高遠くんが壁の時計を見る。
「今9時だからー…とりあえず12時くらいまでやろっか」
「うん。頑張る!」
意気込んで勉強を始めたものの、お腹がいっぱいの私はだんだん睡魔に襲われるようになった。
眠っちゃいけないのに、勉強しなきゃいけないのに、まだまだ覚えることたくさんあるのに、瞼が下がってきて視界を遮る。
(まだ11時なのにー…)
眠気を払うように首を左右に振る。
それを見た高遠くんがふっと笑った。
「先輩、もう寝ようか。そんなんじゃ頭に入らないよ」
「うー…でもまだやんなきゃー」
この学年末、失敗するわけにはいかないの。
私の決意だから。
大学でも高遠くんと一緒にバレーしたいの。