その背中、抱きしめて 【上】
昨日勉強したところを軽く復習しながら高遠くんに聞く。
「テストの前日までこうやって高遠くんに勉強見てもらってたら、高遠くん自分の勉強できないよね。ごめんね」
「先輩が問題解いてる間とか結構勉強してるから大丈夫。それに…」
高遠くんの大きな手がほっぺたに触れる。
「先輩とヨリ戻してからは勉強捗ってるから問題ないよ」
そっか、ようやくわかった。
高遠くんはテスト前1週間の時間を全部私にくれるかわりに、普段勉強してるんだ。
だから今みたいになスキマ時間に教科書読み返すくらいで大丈夫なんだ。
(もとが頭良すぎるから)
「ヨリ戻す前は捗らなかったの?」
ちょっといたずらっぽく聞いてみる。
「授業聞いても右から左に抜けてって全然。家で勉強しても手につかなかったし。おかげで1位陥落」
それでも2位と3位なんだからすごいって思っちゃうけど、高遠くんとしてはきっとすごいショックだったんだろうな。
「俺がこんな女々しくなったの先輩のせいだから責任とってよ」
ほっぺたに触れてた手のひらが少し離れて、痛くない程度にかるくほっぺたをつねられる。
高遠くんの顔はちょっと赤くて、ちょっとふてくされた感じで、それはそれでキュンとした。