その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんがいなくなった後、すごい勢いで私の机の周りに女子が群がった。
「そうだったよね、ゆずって翔くんと付き合ってんだよね!」
「お返し開けて見せて!!」
「近くで見るとマジかっこいい!!佐藤さん、盗撮してきて!」
(なんだこりゃーーーーーー!!!)
さくらちゃんはこの状況を見てゲラゲラ笑いだした。
笑い事じゃないよ!
(盗撮って何なのさーーーー!!)
うるさい外野がいる中で、さくらちゃんが指をくいくいっと曲げて、私に耳を近づけるように手招きした。
その指に誘われるように、前の席に座ってるさくらちゃんの口に耳を近づける。
「高遠くん、絶対みんなに見せつけたんだよね。自分にもゆずにも悪い虫が寄らないように」
「え?まさかー」
そんなわけないでしょ。
部活の後じゃ忘れちゃうとか、今日一緒に帰れないとか、そういう事情で今持ってきたんじゃないの?
「いやいや。じゃなきゃわざわざうちの教室に持ってこないでしょ。普通2人の時に渡すでしょ、階も違うんだし」
「でも今更じゃない?それに今まで全然邪魔されたことないし」
イケメンと付き合うといじめられたりとかあるらしいけど、私そんなこと1度もないもんなぁ。
「今まではなくてもこれからはあるかもしれないでしょ?まぁそれはいいとして、高遠くんにお返しもらえてよかったね」
「うん。チョコかなぁ…もったいなくて食べれないよね。部屋に飾っておこう」
「美味しいうちに食べなさいよ。チョコがかわいそうでしょ」
さくらちゃんがため息をついた。