モテ系同期と偽装恋愛!?

女性がこの神輿を担いだり触れたりすることで、子宝に恵まれるご利益があるそうだが、男性が触れると……。

なぜかそこで一旦言葉を区切り、怪談話をするような恐ろしげな顔をして横山くんを見るおじいさん。

横山くんはゴクリと唾を飲み込み、恐る恐る話の続きを促す。

「もし、男が触れると……?」

「種なしにされるずら」

種なしとはつまり、無精子症のことだろう。

横山くんは青ざめて「触ってないです」と首を小さく横に振っていた。

確かにまだ触っていなかった。
おじいさんの登場が1秒でも遅ければ、確実に触れていたと思うけれど……。

すっかり写真を撮る気の失せた彼に、スマホを返す。

親切なおじいさんは「気いつけれ」と言葉を残して去って行き、真顔の横山くんはゆっくりと後ずさるように神輿から離れていた。

それを見て、私はつい笑ってしまう。

それは明らかに言い伝えというか迷信なのに、そこまで怯える彼が可笑しかった。

声に出して笑いながら、女性は触れてもいいということなので、丸太の先端に手を伸ばす。

磨き込まれた木の表面はツルツルスベスベして、撫でる手の平に心地よい感触を与えてくれる。

するとカシャリとシャッター音がして、横山くんが私と神輿をスマホに収めてしまった。

「やり〜。絶対に無理とか言ってたのに、笑顔で撫でてんじゃん」

あ、しまった……。

二ヒヒと笑う彼に、頬を膨らませて抗議してみせたが、すぐに吹き出してまた笑ってしまう。

お互いを指差して、笑い合う私たち。

それからしばらくの間、神様に怒られやしないかと心配になるほどに、ふたりでお腹を抱えて笑ってしまった。

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