モテ系同期と偽装恋愛!?
楽しい……この時間がずっと続けばいいのに……。
そんな願いもむなしく、飲み会の時間が迫ってきたので神社を後にする。
人の流れが神社から、近くを流れる川の方へと動いていた。
花火大会は日没後からと書いてあった気がする。
茜色の空の下を歩いている人たちは屋台で買った食べ物を手にしているので、河原で食べながら花火が打ち上がるのを待つのだろう。
車に乗り込んだ私たちは、人の流れと逆方向へ。
住宅街を抜け、元温泉街へと続くなだらかな坂道を上り、荷物を預けてある旅館の駐車場に車を停めた。
宿に戻ってきた理由は、スナック葵がこの元温泉街にあるからだ。
ひび割れたアスファルトの道を、今度は歩いて下って行く。
宿から目と鼻の先にある3階建てのコンクリートの建物は、外壁の塗装が剥げてボロボロで、日中に来たときには廃墟のように見えていた。
でも今は看板に明かりが灯り、生きている建物なのが見て分かる。
横山くんは神社を出てからもずっと高めのテンションで上手な鼻歌を披露してくれるが、私はもう笑えなくなっていた。
ここからは、決死の覚悟で臨まないと……。
震えて泣いて、逃げ出すわけにはいかないのだから……。