モテ系同期と偽装恋愛!?

葉王の男性たちの意識が私に向いていないのがよく分かる。

皆んな横山くんの話に夢中で、去年はカラオケでデュエットしようとしつこく誘ってきた人も、今はカラオケの存在すら忘れているみたい。

ちやほやされないこの状況が、とても楽だった。

怖くないとは言えないが、生き地獄を味わった去年に比べたら天国と言ってもいい飲み会になっている。

横山くんに感謝しつつ、このまま終わってくれたらどんなにいいかと思っていたら、スナック葵のママさんが、新しい水割りのグラスをテーブルに置きにきた。

「19時半過ぎたから、そろそろじゃない?」

ママさんがそう話しを振ってきたその直後に、ドーンと大きな音が外から響く。

これは……花火の打ち上げの音みたい。
日が落ちて、花火大会が始まったのだろう。

店内に窓はひとつあるが、残念ながら花火が上がる方向とは違うらしい。

この店の従業員は50代のママさんの他に、30代前半の女性がふたりいて、そのふたりが「すみませ〜ん、ちょっとだけ花火見てきま〜す」と言って店外に出て行った。

私も見たい……そう思ったが、葉王の皆さんに失礼だと思い席を立てずにいた。

お姉さんたちが出て行ってパタンとしまったドアを見つめ、それから視線を前に戻すと、なぜかこっちをじっと見ていた横山くんと目が合った。

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