モテ系同期と偽装恋愛!?
大会議室のドア前で復縁を求める長谷川さんと、それを断る横山くんの会話を思いがけず立ち聞きしてしまった。
あの後……『女性との付き合い方を再考して』と、言ってしまった覚えがある。
恋愛経験ゼロの私がなにを偉そうに言っているのだろうと、自分にツッコミを入れつつ、彼に説教した記憶が……。
気になる子って……私のこと?
横山くんは……私が好きなの?
仲良くしたいって……同期としてじゃないの…?
心の中に暗雲が立ち込める。
注目の的になりやすい横山くんの恋愛事情は、すぐに社内に広まってしまう。
私に交際を求めたなんて噂が立てば、身の破滅。
女子社員に敵視されて辛い過去に逆戻りだ。
そのストーリーからどうしても抜け出せない私は、頭の中で必死に逃げ道を探してしまう。
そうだ……フラれたのかと聞かれて、横山くんは『まあ、そうです』と答えていた。
私は横山くんを振っていない。
好きだとも付き合ってとも言われていないのだから、断る展開に至っていない。
だから横山くんの"気になる子"とは、私じゃない可能性も残されている……。
花火の音がやんでいることにも気づけずにいた。
横山くんは変わらず私を見つめ続けていて、堪らず目を逸らしてしまう。
葉王の人たち、横山くんを待っているんじゃないかな……。
多分、トイレと言って抜けてきたと思うから、そろそろ戻った方がいいと……。
困る展開になりそうだから、それ以上なにも言わないでほしかった。
早くここから立ち去ってほしい……そんな願いを心で唱えていたのに、決定的な言葉を言われてしまう。