モテ系同期と偽装恋愛!?
それまで賑やかだった話し声がやみ、皆んなの視線が横山くんに集まる。
酔いすぎの副工場長だけはヘラヘラと笑っているけれど、他の葉王の男性社員は急に不機嫌さを露わにした横山くんに戸惑っていた。
マイクを置いた彼は、大きなストライドでこっちに向けて歩み寄る。
座っている人とテーブルの間のわずかな隙間を無理やり通ると、私の肩から副工場長の腕を外して、それから体をねじ込むようにして私と副工場長の間に割って座った。
「横山くん……」
これはマズイ気が……。
副工場長の腕から解放されて強い恐怖から抜け出せたのはいいけれど、心は別のことに慌てていた。
葉王との関係がこじれて仕事がもらえなくなれば、うちの会社に8桁の損失が生じる。
横山くんほどの人が、それを分からないはずはないのに……。
不穏な空気を生んだのは横山くんで、それを打ち破ったのも、また彼だった。
相手の警戒心を溶かしてしまうような柔らかい笑みを作り、茶化したように彼は言う。
「副工場長、お触りは勘弁して下さいよ〜。俺、嫉妬で泣きそうです。
実は彼女に惚れてて……あ、振られたんで、付き合ってはいないんですけど」