モテ系同期と偽装恋愛!?
結局、横山くんに守られっ放しの私は、去年と同じ22時に飲み会から解放された。
薄汚れたコンクリートの塊から抜け出すと、空には美しい星空が。
東京の空より夜の色が濃くて、星の数が多く、今にも降ってきそうなほどだった。
葉王の人たちは呼んだタクシーに乗り合わせて帰って行き、それを見送った後に、私と横山くんが星空の下に残された。
継ぎはぎだらけのアスファルトの坂を、涼しい夜風に吹かれて宿の方へと上って行く。
横山くんは私の一歩、斜め前を歩いており、なにも言わない。
私も黙って大きな背中に付いて歩いていたが、明かりに照らされる宿の看板の前で足を止め、彼を呼び止めた。
「横山くん、あの……」
「なに?」と振り向いた彼は真顔で、笑っていなかった。
疲れているのか、それとも怒っているのかもしれない。
随分と周囲に気を遣っていたし、特に私が迷惑をかけてしまったから。
彼が不機嫌になるのは当然だと思って反省し、深々と頭を下げた。
「ごめんなさい」
「なにについて謝っているの?」
「私を守らせてしまったこと……」
こんな言い方をすれば、男性恐怖症を認めていると取られかねない。
今までの私は弱気な素顔を見られたくなくてひた隠しにしてきたが、今はもう、バレてもいいと思っていた。
彼は男性だけれど、信じられる。
社内で私の秘密を広めたりはしないだろうし、桃ちゃんと同じように、私を理解してくれる気がして……。