モテ系同期と偽装恋愛!?
「聞いてほしい……私がどうして、こんなふうになってしまったのかを……」
涙に言葉を詰まらせながら、想いを口にした。
自分から過去のトラウマ話を聞いてほしいと思ったのは、これが初めて。
入社し立ての頃、ひとりで泣いていた姿を桃ちゃんに見られた時も、そう思わなかった。
ただ桃ちゃんがズバズバと質問してくるから、それに答えていただけで……。
涙で視界がぼやけて、横山くんの顔がよく見えなかった。
表情を読めないことで断られる不安が過る。
鼓動が速度を上げる中、返事を待つ私に差し出されたのは青いハンカチ。
涙を拭きなよという意味だと思うが、汚してしまうと思い、受け取るのを躊躇する。
すると、顔に押し付けられてしまった。
受け取らざるを得なくて、シャボンのいい香りがするハンカチで涙を拭かせてもらうと、やっとクリアになった視界の先では横山くんがなぜか嬉しそうに微笑んでいた。
「話す気になってくれて、すげー嬉しい」
「あの……楽しい話じゃなくて、嫌な気持ちにさせてしまうかもしれないんだけど……」
「どんな内容でも聞きたい。宿でゆっくり聞かせて。紗姫の部屋でもいいし、俺の部屋でも……あ、ロビーの方がいいか」